相続税について税理士に相談するタイミング
1 相続税について税理士に相談するのは早いほど良い
相続税に関して何らかのお悩みをお持ちの場合には、できるだけ早く税理士に相談されることをおすすめします。
ご生前の段階でご相談をされると、適切な節税のアドバイスや、相続人による財産整理の負荷を軽減するための、財産目録の作成等の支援を受けられます。
相続開始後であっても、相続税には申告期限があり、多くの作業等を行わなければならないため、できる限り早く申告・納付の準備を始める必要があります。
以下、相続税について早めに税理士に相談することのメリットについて、ご生前段階および相続開始後の段階に分けて詳しく説明します。
2 ご生前段階で税理士に相談をするメリット
⑴ 節税の検討が可能になる
相続税には、適切に税額を軽減できる制度がいくつも設けられています。
ご生前段階で利用できる代表的な制度として、次の3つが挙げられます。
1つめとして、生命保険金の非課税枠の利用があります。
被保険者と保険料負担者が被相続人であり、受取人が相続人である生命保険金については、法定相続人の人数×500万円まで、非課税となります。
ご生前に一時払い終身保険に加入することで、相続税を節税できる可能性があります
これは、相続人の納税資金の確保にもつながります。
2つめに、小規模宅地等の特例の利用が挙げられます。
一定の要件を満たす相続人が被相続人の自宅宅地を取得した場合、当該宅地の評価額を大きく低減することができます。
その結果、相続税が大幅に下がることがあります。
小規模宅地等の特例を利用できるかどうかは、相続人となる方の住所や、居住用不動産の所有状況などによって変わります。
ご生前のうちに、小規模宅地等の特例の適用を受けられる要件を満たすよう準備を進めることもできます。
3つめとしては、不動産による節税があります。
相続税を算定する際の不動産の評価には、相続税特有の計算方法が用いられます。
一般的に、不動産の評価額は、市場価格よりも低くなります。
不動産を貸し付けている場合、借地権割合や借家権割合が控除されるため、より評価額が低減されます。
ご生前に預貯金の一部を用いて、不動産の購入や貸し付けを行うことで、課税の対象となる相続財産の評価額を下げ、相続税を低減できる可能性があります。
⑵ 財産の調査と整理
実務上、相続税申告の際の財産の調査は、相続人等の大きな負担になることがあります。
相続財産を正確に把握できていないと、遺産分割協議ができないことや、相続税の申告漏れが発生してしまうことがあります。
このような状況に陥ることを予防するため、相続税の節税等の検討に併せて、ご生前に財産の整理、財産目録の作成を行うことをおすすめします。
3 相続開始後にできる限り早く税理士に相談するメリット
相続税の申告・納付には期限があります。
相続の開始を知った日の翌日から10か月ですので、一般的には相続開始の日の翌日から10か月であるとお考えください。
10か月の間に、相続人調査、相続財産(みなし相続財産、相続債務含む)の調査、相続財産の裏付けとなる資料の収集、遺産分割協議書の作成(または遺言の確認や検認手続)、相続財産の評価・相続税額算定、相続税申告・納付を行う必要があります。
事案によっては、これらの作業に多くの時間を要することがあります。
期限が近くなってから相続税申告の準備に取り掛かると、申告期限に間に合わなくなる可能性があります。
そのため、相続が開始したら、できるだけ早く税理士にご相談ください。